財布は語る
あたしの持ち主のことを、今日は語ろうと思うの。
彼女は、あたしの他にも、同じ仕事をする人を2人雇っているの。
でもいまのところ、持ち主はあたしを一番気に入ってくれているらしいから
一安心なんだけどね。
それでも、他の2人もあたしも、家にいることがよくあるの。
大抵の人は、外に出るときはほとんど必ずあたしたちを携帯するそうだけど
彼女はどうも違うのよねぇ・・・
彼女の一番好きなものは、GLAY。
彼女と一緒に居ると、TERUさん?彼の歌声がしょっちゅう聞こえてくるわ。
それにあたしは、「GLAY CD」とか「文庫」とかって印刷された用紙を懐に抱くことが多いの。
彼女は、なかなかこの紙を捨てられないのね。
買い物をするたび、オジサンやオバサンの絵が描かれた紙は減っていくのに、
次から次へと、文字が印刷された白い紙は増えていくの。
ああ、話がそれちゃった。
彼女は、そんな大好きなGLAYのLIVEにあたしを置いて行ったことがあるのよ。
LIVEのチケットは忘れなくても、あたしは忘れる。
彼女にとって、あたしはそれほど大事ではないのかしら?
だってね、この前なんて内定を貰った企業の最終面接の日に、
あたしを忘れて東京まで行ってしまったのよ?信じられる?
後から聞いた話では、彼女。
あたしが鞄の中にいないことに東京駅で気付いて焦り、
乗りなれたはずの電車を乗り間違えて、逆方向に行ってしまったらしいの。
ドジよね〜。
「帰られない!」動揺した彼女は泣きそうな声で家に電話をしてきていたもの。
大学にも、よくあたしを連れて行ってくれなかったわねぇ。
このときは定期とバスカードを持っていたから、家に帰られない心配はなかったそうだけど、
運悪く、この日はある集金があったらしくて、
2つも年下の従姉妹にお金を借りたらしいの。
お金を返す時にはあたしも立ち会ったけれど、彼女、
そりゃあ恥ずかしそうだったわぁ。
本当にドジよね〜。
あたし、こんな人が持ち主で情けないわ〜。
![]()